eロマンスロイヤル大賞

2024 eロマンスロイヤル大賞
受賞結果発表

応募総数405作品

金賞
  • 国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話
    著者:澤谷弥
選評

結婚率の低下によって国がマッチングサービスのような制度を立ち上げ、相性のいい二人を選んで婚姻させるという異世界ファンタジーでありながら現代の結婚問題とも重ねて楽しめる、新しい切り口の作品でした。一方で恋愛部分は王道展開で、泣く子も黙ると言われた魔導士団副団長が相手であることに戸惑いながらもヒロイン・フローラが溺愛されていく様子はときめきがありました。さらに二人の恋が国を巻き込んでの事件へ発展していく場面は、設定の面白さだけで終わらない技巧を感じさせられました。またキャラクターについても、ヒーローの謎要素や部下との掛け合いも楽しめましたが、フローラの自立した女性像は、eロマンスロイヤルのヒロイン像にマッチしていました。堅実な物語性、独創的な切り口、ティーンズラブらしい溺愛という三点が揃った作品です。

金賞
選評

ティーンズラブの王道を行く冷酷な皇帝という骨太のヒーロー像が最近では珍しく、応募作の中ではピカ一でした。皇帝・ジルヴァラの意地悪な態度に反発を覚えつつも、ベッドでは蕩けてしまったり、彼にかかった呪いのために奮闘するスティーリアも、可愛らしく健気なヒロインとして100点満点でした。呪いを解くために巫女であるヒロインが抱かれるというよくある展開でありながら、少しずつ距離を詰めていく二人の様子が丁寧に描かれ、中盤から明かされていく二人の過去の因縁や、伏線の回収が鮮やかで完成度が高い作品でした。ある理由で皇帝の前から姿を消してしまったスティーリアの前に、颯爽と現れてピンチを救う皇帝もかっこよく、独得な世界観を演出させるワードセンスも相まって、いつの間にかこの物語へどっぷりと没入させられてしまった作品です。

ピーチ賞
  • 絶対に、あなたとだけは結婚しない!!~嘘泣き聖女は意地悪騎士との婚約を破棄したい~
    著者:河津ミネ
選評

ヒロインのユリア、ヒーローのテオ、そして周りのキャラクターたちがとても魅力的でした。顔を合わせるとなぜかケンカしてしまう、でも実は想い合っていて、という二人の理想的な「ケンカップル」ぶりが光りました。また、他のキャラクターたちも生き生きと描かれており、気持ちがすれ違ってしまいがちな二人の関係を支える献身的な姿や、テオの部下の騎士二人の切ない想いにも、グッときました。実は甘いだけではなく、聖女の設定などシビアな世界観や、次々と起こる事件や戦闘などで飽きさせない展開で、テンポ良く読める爽快感のあるお話でした。官能シーンは甘く、魅力的ではあったのですが、基本的にはハッピーでワクワクできる作品で、もっと幅広い層に楽しんでもらえるようライト層へのアプローチ及びコミカライズ展開も視野に入れられる作品です。

奨励賞
選評

淫紋に翻弄される騎士ヴィランの夜伽係になるという引きのある設定はもちろん、愛する人を喪った過去を抱えながらもシュレナに惹かれていくヴィランと、それを知りながらも寄り添いたいと決意するシュレナの心情描写が印象的でした。またシュレナの抱える秘密や、それぞれの出自と国の問題が複雑に絡み合うなど物語の奥行きがあり、読みごたえがある作品です。この先の展開が、さらに二人の関係を深めてくれそうな雰囲気で非常に楽しみです。

奨励賞
  • 私はこの恋の終わらせ方を知っている
    著者:黒猫子猫
選評

最後まで読んでタイトルの意味に二重三重に納得させられました。一見最初はワンナイトラブかと思わせておいて、先の見えないスリル感、徐々に強まる不穏な空気、そして誰が敵なのかわからないヒリヒリ感に惹きつけられました。そしてエレナの胸の奥が痛くなるような悲しみと、記憶を失ったシオンの一途さに、どうやったらこの二人が報われるのだろうかと手を握りしめながら読み進めました。一度ではなく二度三度と読んで欲しい作品です。

コミック原作賞
  • えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
    著者:春瀬湖子
選評

何をしてもポンコツで落ちこぼれなヒロインの魅力が際立った作品でした。ポンコツだけどひたむきなルチアの心根の優しさを徹底して描き切ることで、笑いながらも応援したくなる愛されヒロインになり、好感度が大変高かったです。ヒロインの家族をはじめとするキャラクター同士の掛け合いも楽しくて、何度もクスリとさせられました。ヒーローのルチアへの執着愛もチャーミングで、感情豊かなキャラクターたちをコミックで楽しみたい作品です。

コミック原作賞
  • おしかけ小鳩に蜂のみちびき
    著者:若島まつ
選評

短編ながら、その稀有なヒロイン像で導入からぐっと引き込まれ、甘さもありながら二人の絶妙な距離感と緊張感はそのままという不思議な作品でした。武士のような一本芯の通った貴族令嬢が、侍従もつれず馬に乗って宮殿の門をくぐる冒頭のシーンは、すぐにイメージが浮かぶほど絵になるシーンで、その後の話から目が離せなくなりました。しっかりした世界観の異世界ファンタジーで見事にハッピーエンドに着地、大変爽快な読後感の作品です。

コミック原作賞
  • 首なし騎士姫は敵国の武将に囚われた
    著者:赤井茄子
選評

短編とは思えないほどの濃い内容で、展開と構成も練られていて非常に面白かったです。かつて甘い一夜を共にしたバルツと戦地で再会してしまうという緊張と緩和も目を引きました。また、ヒロインの女騎士が護ろうとした幼き王に関する意外な事実が読者に明かされると同時に、彼を失ったという絶望からの驚愕の展開と物語の着地が大変秀逸でした。ぜひそれぞれの出来事をしっかり見せる方向でコミカライズしてみたいと思った作品です。

コミック原作賞
  • ヒョロガリ殿下を逞しく育てたのでお暇させていただきます!
    著者:冬見 六花
選評

定番の乙女ゲーム転生(風)でありながら一風変わった設定が面白かったです。死亡フラグ回避のために自分の婚約者である王太子に筋肉を付けさせよう! というフェティシズム要素も楽しく、主人公の明るく前向きな行動がコミカルな展開とマッチングしています。そしてせっかく転移してきたヒロインを即行送り返すほどの王子の主人公への執着に爆笑し、育てていたつもりが育てられていたというオチが見事に決まった爽快感が良かったです。


【総評】

今回は400作を越える多くの作品をご応募いただき、どんな作品に出会えるかとワクワクしながら選考をいたしました。傾向としては「乙女ゲームモノ」「結婚(白い結婚、政略結婚、離縁など)モノ」の二大テーマが多く、そして前者は既存作品との差別化、後者は物語の発展性という点で残念ながら選考ラインに達していない作品も多かったです。また「eロマンスロイヤル」は大人女性が官能恋愛シーンを気持ちよく楽しめるレーベルを目指しておりますが、自分の書きたいものに意識が行き過ぎて、読者への配慮が欠けた過度な描写がある作品がいくつか見受けられたことは残念でした。そんな中、大賞こそ出ませんでしたが、骨太のヒーロー像がTLの王道でありながら、独特の世界観で楽しませてくれた作品と、逆にリアル現代社会の問題ともリンクするようなテーマ性で目新しさを感じさせてくれた作品の2作品を金賞に選出させていただきました。その他の賞も選評にある通り、キャラクターや物語に魅力が溢れる作品を選出いたしました。これからの活躍を期待したいと思います。

※二次選考通過作品の選評は10月下旬の掲載を予定しております。

選評

多少セリフや表現に下品な部分がありましたが、ポンコツ悪役令嬢と癖あるヒーローとの恋愛攻防戦が楽しかったです。ドタバタコメディとしてはキャラがよく動いていて面白かったですが、TLや恋愛ファンタジーとしては乙女ゲームなどの設定に頼り過ぎて世界観の演出や心情描写が浅く、小説としては物足りなさを感じました。

選評

ヒロインがモモンガ!? という、突き抜けた設定にまず興味を引かれ、コメディタッチの物語も面白かったです。ヒーローであるイケオジ王弟との関係の変化も、モモンガと人間の両方の目線から丁寧に描写されており、好印象でした。しかし、読者の共感できる恋愛模様を楽しむTLとしては、その異色設定ゆえに展開が難しいと感じました。

選評

上級魔法師と騎士団長という仕事のデキる者同士のプライドをかけたケンカップル作品です。ヒロインが猫になってしまったことで相手の本音を知ることができたり、ヒーローのあらぬシーンを見てしまったりとドキドキ展開も楽しめました。ただ、好意があるとはいえ、自分が性対象にされていることの好き嫌いが出てしまいそうだと思いました。

選評

皇帝とのHを巡る性癖ネタは大変コミカルで面白かったです。勢いのある会話も漫画的で何度もクスリとさせられました。一方で、物語のラストに向けてが駆け足で、冒頭と設定の面白さだけでこじんまり纏まった印象になっていました。ヒロインが王妃になるところまでなど、物語としてもう一歩先の展開まで描き切ってほしかったです。

選評

ヒロインもヒーローも庶子からの成り上がりでシンデレラ味がありました。自分の逆境を切り抜けようという芯のあるヒロイン像は良かったのですが、実際にはこれといった努力や頑張りが見られなかったのが少し残念です。ヒロイン、ヒーローの生い立ち部分など途中雑なのでもっと丁寧に書き込みあるともっと良くなったと思います。

選評

監禁エンド、ウエルカム! の押せ押せ転生ヒロインによるテンポの良さが魅力の話です。ただ主人公達が相思相愛になって終わるのかと思いきや、終盤のヒロイン生家の不穏さは他作品にはない展開で引き込まれました。ですが、せっかくの闇深い真相を調理しきらずすっぱり終わってしまったため、拍子抜けに感じてしまい残念でした。

選評

チャラ騎士団長×真面目女子というある意味では王道のカップリングに、「小さい胸」というコンプレックスがフックになっていて面白かったです。愛撫シーンもとても色っぽく、行為に必然性がありTLとして良い展開だと思いました。もう少し、愛される理由を胸以外のところでも表現できていたら、ドラマ性も出てなお良かったと思います。

選評

短いながらテンポがよく、ヒーローのキャラが立っていておもしろかったです。わんこ系の特徴を押さえ、懐いてくる様子とエッチの時の積極性が素敵に描かれていました。ただ定番のキャラであるため、もう少し特徴やフックがあるとなお良いと思います。また、ヒロインの感情ももう少し描写があると感情移入しやすいと思いました。

選評

ガヴァネスである堅実なヒロインと危ない魅力のある年上ヒーローの恋が丁寧に描かれている物語です。穏やかで優しい空気感でキャラクターも深堀りできています。ただ、40万文字という長さゆえか、展開がゆっくりでもたつく感じがありました。もう少しコンパクトに二人の関係性と物語の起伏を収められるとより良かったと思います。

選評

死に戻りものとして、程よいミステリー感もありワクワクしながら読みました。ヒロインがもう一度ヒーローとの婚姻生活を送る理由もしっかりとしており、昨今のトレンドもしっかりと抑えている作品です。ただ、後半の謎解きパートや黒幕を追及する部分が、不思議な力で解決というご都合主義展開になってしまっていた点が残念でした。

選評

タイトルにもある謎を主軸に進む物語は独創性があり、最後まで真相を楽しみに読めました。一方で、正当な理由はあるものの母が娘に「処女を捨てろ」と命じるのは貞操観念の点でやや共感を得づらく、納得させるだけの説得力には今一歩でした。官能シーンは大変色っぽく描写できており、今後もその表現力を武器にしていってほしいと感じました。

選評

タイトルもわかりやすく、定番の政略結婚からの溺愛、すれ違いなど構成がきちんとできており読みやすかったです。二人を取り巻く周囲のキャラも良く、ハッピーエンドまでの過程を安心して楽しめる作品です。その一方で、ひたすら両片想いが続き、大きな事件も起きないのでマンネリ感があり、定番の域を出ず目新しさはありませんでした。

選評

しっかりとキャラが立った王道の夫婦間恋愛ものでした。設定も良く練られていて、なぜ第一王子と政略結婚をすることになったのかも無理なく説明されおり、ストレスなく読むことができました。ただ、ヒーローがヒロインを溺愛するようになる展開があまりに急転直下すぎて納得感が薄いので、もっと丁寧に描いて欲しかったと思います。

選評

最近よく見る「●年放置系」のタイトルが目を引きました。定番の年の差物で、幼妻が年上の旦那様をずっと恋し続けているのが可愛らしく、年上の旦那様が実は幼妻を大事に思っていたという展開も悪くないです。ただ、全体に起伏が乏しいことと、結果本人だったとはいえ、旦那様の浮気と思われる行動に好き嫌いはあるかと思いました。

選評

ヒーローがチャラ男という設定はとてもいいと思います。積極的な姿勢は素敵ですが、もう少しチャラ男ならではの性格や展開があるとさらにキャラが立ちそうだと思いました。また、恋人の浮気が原因にせよ、ヒロインが恋人と完全に別れてはいないままヒーローと関係を持ってしまうことについてはもう少し慎重なほうが好感度は高いかと思います。

選評

ケンカップル的なやりとりが非常に可愛らしくおもしろかったです。ヒーローの口調や目付きなど、悪っぽくも実際はヒロインが好きでたまらないという感じもよく伝わってきました。キャラクターや決めシーン、Hシーンは大変イキイキと描かれているので、もっとストーリーにドラマ性があるとより面白くなったのではないかと思います。

選評

聖女の設定、実家や貴族の事情、兄の失踪にまつわる国の陰謀、など設定がしっかりしており、キャラクターも骨太で読み応えのある作品です。物語の展開も起承転結をきちんと考えられています。その一方で、TLとしては甘さやキラキラが物足りなく、どちらかというと官能シーンを入れず一般向けにしたほうが良さそうな作品でした。

選評

女たらしでクズなヒーローが、無自覚エロ可愛いヒロインと初めての恋に振り回されている様が楽しい作品でした。二人の心理描写がとても丁寧で、キュンキュン要素が散りばめられた展開も良かったです。一方で、大事件などがなく、物語の山場といえる部分がありませんでした。キャラが魅力的なのでそれをより活かせる展開が読みたかったです。

選評

エッチな本が好きなヒロインと真面目婚約者のカップリングが素敵でした。カタブツなヒーローのスイッチの入る瞬間や、元のキャラとのギャップも萌えるポイントだと思います。官能シーンも色っぽくて良かったのですが、エッチな展開になるシーンなどで、この作品の設定、キャラならでは一工夫があるともっと独創性が出たと思います。

選評

しっかり者のヒロインとぐいぐい来る年下のヒーローのカップルが好印象の作品です。よくあるお話の展開ですが、ヒーローが実はやり手で裏でいろいろ手を回していたり、意外な懐の広さと溺愛ぶりで、年下とは思えぬスパダリ感を出していました。芯のあるヒロインと年下ヒーローの溺愛のお話と、タイトルとの差に少し違和感がありました。

※受賞作品の発表は、9月下旬~10月初旬を予定しております。

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